株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン(東証プライム:3319、以下「GDO」)は5月15日、マネジメント・バイアウト(MBO)の実施を決定し、株式会社TGTホールディングスによる公開買付けを開始すると発表しました。同時に2025年12月期第1四半期決算も公表しています。
MBO実施の概要
GDOは、株式会社TGTホールディングスが実施する公開買付けを通じて非公開化する方針を決定しました。公開買付価格は普通株式1株につき430円で、公開買付期間は5月16日から7月3日までの35営業日となります。
TGTホールディングスは2025年4月8日に設立された会社で、エクイティ投資会社であるインテグラル株式会社が全株式を所有しています。インテグラルは2007年の創業以来、キュービーネットホールディングス株式会社やスカイマーク株式会社など計34件の投資実績を持つ国内独立系投資会社です。
本公開買付けは、GDO取締役会の賛同のもと友好的に実施されます。買付予定数の下限は3,599,800株(所有割合19.69%)に設定されており、応募株券等の数がこの下限に満たない場合は買付けは行われません。一方、上限は設定されていません。
GDOの代表取締役社長である石坂信也氏(所有株式数:3,241,200株、所有割合:17.73%)をはじめとする主要株主は、本公開買付けに応募しない旨を合意しています。本取引実行後も石坂氏および取締役の木村玄一氏は引き続きGDOの経営にあたる予定です。
2025年12月期第1四半期決算の概要
GDOは同日、2025年12月期第1四半期決算も発表しました。売上高は前年同期比3.8%増の134.5億円、EBITDAは前年同期比67.9%増の3.5億円となりました。一方、営業利益は前年同期比で0.6億円改善したものの3.9億円の赤字、親会社株主に帰属する当期純利益は15.7億円の赤字となりました。
国内セグメント:ゴルフ用品販売が牽引
国内セグメントの売上高は前年同期比5.0%増の67.2億円、営業利益は前年同期比584.7%増の3.1億円と大幅に改善しました。特にリテールビジネスにおけるゴルフ用品販売が好調で、前年第2四半期以降の成長基調が継続しています。
ゴルフ用品販売では、商材の質改善やオリジナルサービス「TRY SHOT」「下取割り」が好調に推移しています。中古品EC売上高は前年同期比11%増となりました。また、ゴルフ場ビジネスも前年第4四半期以降回復傾向にあり、事前決済サービス「HOT PRICE」のチケット販売数は前年同期比約1.9倍に拡大しました。
トップトレーサー・レンジ(ゴルフ練習場)事業では、新規導入および既存施設における増設で、第1四半期における増加導入数は+3施設、+111打席となりました。
海外セグメント:為替影響で苦戦も一部事業は成長
海外セグメントの売上高は前年同期比2.7%増の67.2億円となりましたが、営業利益は前年同期比で2.0億円減少し11.6億円の赤字となりました。期中平均為替レートは前年比+3.94円、期末為替レートは前年末比-8.64円と大きく変動し、為替差損5.5億円を認識しました。
米国GOLFTECビジネスでは、会計ベースの売上高は前年同期比で微減したものの、Cash Salesは1.7%増加しました。デジタルマーケティングへのシフトは過渡期にあり、新規顧客の獲得に苦戦しています。
ゴルフ弾道測定器ビジネス(SkyTrak関連事業)は、ハード機器の価格競争激化の中、ホームスタジオ機器販売やソフトウェアビジネスが好調で、全体として5.7%の成長を実現しました。
新たな取り組み:生成AIを活用したサービス開発
GDOは、電通デジタル社との共同研究開発プロジェクト「GDO-AI Lab.」を通じて、生成AIを活用したゴルファー向けサービスの実現可能性検証(PoC)を開始しました。
具体的には、ECサイトでのバーチャル試着機能やゴルフ場予約サイトへの対話型AI「GDO店員さんAI」の実装テストを2025年2月より順次開始しています。これらのサービスは、GDOが保有する膨大なゴルファーデータベースを基に、ゴルフに関するあらゆる体験でユーザーをサポートすることを目指しています。
今後の見通し
GDOは、国内事業では引き続きゴルフ用品販売の成長とゴルフ場ビジネスの回復に注力する方針です。海外事業については、GOLFTECビジネスの既存店収益性向上と新規サービス展開、ゴルフ弾道測定器ビジネスのソフトウェア拡充を進めます。
また、当期は投資をコントロールし、国内セグメントでは80百万円、海外セグメントでは2.1百万ドル(322百万円)の投資を実施する予定です。
MBOによる非公開化後も、現経営陣が引き続き経営にあたることで、長期的な視点での事業成長と企業価値向上を目指す方針を示しています。